清算型遺言による登記で、共同相続人のうちの一人が海外で住所不明の場合
以前、被相続人Aさんの相続登記のご依頼をいただきました。
Aさんには、BさんとCさんという二人の法定相続人がおり、
「遺言者の有する全財産を遺言執行者Bをして換価させ、遺言者の一切の債務、遺言執行費用等を支払わせた上、その残額の〇分の△をBに、〇分の×をCに各相続させる」
という内容の遺言を残されていました。
このような内容の遺言は清算型遺言といい、遺産の全部又は一部を売却し,その売却代金から遺言者(被相続人)の債務を弁済した上で,残った金銭を相続させ又は遺贈する遺言のことをいいます。
清算型遺言に基づく登記の流れについては、
「遺言執行者の単独申請により被相続人名義から相続人名義に相続による所有権移転登記を経由した上で,遺言執行者と買主との共同申請により相続人名義から買主名義への所有権移転登記をすべきである(昭和52年2月5日民三第773号回答)」との先例があり
今回の事例においても
- 遺言執行者Bさんの単独申請により、Aさん名義からBさん及びCさん名義に法定相続分での相続登記をする
- Bさんと買主の間で、当該不動産についての売買契約を締結する
- Bさんと買主との共同申請によりBさん及びCさん名義から買主名義への所有権移転登記をする
という流れで進めることになりました。
お手続きを進めさせていただくにあたりBさんとお会いしたところ、「Cさんが今どこにいるのかだれも分からない」というお話が出ました。
Bさんをはじめご親族の方々も、Cさんとはもう何年も連絡が取れない状況でした。
本籍地は分かっていた為、住所を確認するために戸籍の附票を取得したところ
戸籍の附票ではCさんが中国へ移住したことだけは分かるものの、住所の記載はなく、中国での所在を確認すべく外務省に所在調査の依頼をしましたが、ついに所在が判明することはありませんでした。
相続登記には不動産取得者の住所を証する書類が必要になりますので、いくら遺言執行者が単独で登記申請可能といえども、不動産取得者の住所が公的書類で確認出来ないことは登記の障害になってしまいます。
方法について前例がないか調べてみたところ
「本籍地を住所地として登記する」というものがありました。
【共同相続人のうち行方不明の者があって、その者の住民票又は戸籍の附票に住所の記載がない場合は、その者の戸籍の附票に住所の記載のない旨の証明書を添付し、その者の本籍地を住所地として相続登記を申請することができる(登記研究246号】
海外に住所を移した場合、戸籍の附票には国名のみが記載されるのが通常ですので
今回の事例が「戸籍の附票に住所の記載がない」に該当するのかどうか微妙なところでした。
次の売買まで日も無く、相続登記ができないことには元も子もありませんので 取り急ぎ管轄の法務局に照会をかけさせていただきました。結果、本件は上記登記研究246号の先例の類似事案として扱うことができるため本籍地を住所地として登記可能との回答がありました。
急いでその内容で準備を進め、Cさんの住民票の代わりに
・Cさんの戸籍抄本
・住所欄に「中国」とのみ記載された戸籍の附票
・外務省発行の、Cさんの所在調査をした際の回答書
を添付し、本事例では無事Bさん及びCさんへの相続登記の申請及びその後の売買による所有権移転登記まで完了することができました。
司法書士法人トラストでは、お客様を第一に考え、無事お手続きが完了するよう全力を尽くします。
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