「国土調査による成果」事件中の登記申請は?

先日、こんな出来事がありました。

翌日決済予定の物件を確認するために謄本を取得しようとしたところ、

 

エラーメッセージ

請求のあった登記情報は、登記事件の処理中です。登記事件の処理が完了するまで、登記情報を提供することができませんので、完了後に再度請求してください。

 

と表示され、謄本を取得することができませんでした。

決済前に何かあったのかとプチパニックに陥りました。

処理中の事件がある場合は、その事件の登記が完了してからでないと謄本を確認することができません。

この処理中の登記が完了した時に、売主に対する差押えや仮処分等が登記されてしまっていると、買主や融資をする金融機関に不利益が及ばないように不動産を売買することができないため、この前日の謄本の確認がとても重要になります。

 

今回は、国土調査による分筆、地積公正がされているようでした。

差押えなどではなく一安心です。

 

 

さて、この国土調査による登記の完了を待ってからの決済にしてもいいものでしょうか?

 

今回は売買による所有権移転と抵当権設定がありましたが、抵当権設定契約書には国土調査前の地積、地番がすでに記入されています。

この国土調査による変更登記を待っていると抵当権設定契約書の物件の表示も訂正しなければなりません。

また、万が一、分筆や地積変更により融資の条件を満たせなかったら融資実行はされないのでしょうか…?

 

色々な疑問や不安に駆られましたが、法務局へ問い合わせたところ、

 

処理中だった分筆、地積変更は一度取下げをしてくれることになり、今回の売買による所有権移転を優先してくださるとのことでした。

 

また、融資銀行も今回の国土調査による地積等の変更で融資実行に影響はないとのことでした。

 

予定通り翌日の融資実行、決済が無事に行われました。

 

 

 

このような国土調査による表題変更登記は、事前に所有者へ変更予定の仮測量図が通知されているようです。

今回は登記の3か月程前に測量図の通知が行われているとのことでした。

国土調査については事前に所有者から情報を得ておく必要がありますね。

 

 

 

国土調査とは…

 

土地の位置・区画を明確にするため、登記所に備え付ける精度の高い地図を作成する事業を、全国で実施しています。

これを「登記所備付地図作成事業」又は「法務局の地図作成事業」と言います。

この事業は、市区町村等の行う地籍調査とは対象地域を役割分担して、法務局・地方法務局が実施しているものです。

現在、法務局に備え付けられている公図の多くは、明治時代に作成され、現状と形状が

一致しないものや土地の境界(筆界)が不明確なものが多い状況にあります。

このため、道路・下水道整備などの公共事業、土地や建物の売買などの不動産取引や災害復旧等に問題が生じています。そこで、これらの問題を解決するために、土地一筆ごとの境界(筆界)を確認の上、正確な測量を行い、精度の高い地図を作成します。

 

 

地図作成の地域については法務局のホームページで対象地区、大まかな職権登記の時期が掲載されています。

 

 

安心・安全な不動産の売買を行うために

買主、売主どちらかが不利益な状況になることがないよう、常に最善を尽くして登記申請を進めて参ります。

不動産売買でご不安なことがある際はぜひ当事務所までご相談ください。