宅地の一部を道路として利用している土地の地目変更
実家の土地を相続したところ、地目が「田」になっていました。
実際は田んぼとして利用しておらず建物が建っていますが、
どのような手続きが必要でしょうか。
登記簿上の地目と現状が異なる場合、地目変更登記を行いましょう。
調査したところ、今回地目変更する土地は宅地に道路がかかっている
状態でした。
この場合、土地を分筆登記した上で地目変更登記が必要になります。
【分筆登記とは】
分筆とは、登記簿上の一つの土地を複数の土地に分ける登記のことです。
土地は1筆、2筆と数えますが、土地を分けることは「筆」を分けることになるので分筆と言います。
ちなみに、分筆とは反対に、複数の筆の土地を一つの筆にまとめることを合筆と言います。
分筆を行うためには、分筆前の土地の境界が確定している必要があります(確定測量)。
土地の境界を確定するには、隣地の方全員から境界を確認していただいた上で、
境界確認書に署名捺印をいただく必要があります。
そのため、隣地所有者との間に境界トラブルがある場合は、境界が確定できないので分筆ができません。
また、隣地所有者が行方不明で境界が決められない場合も同様です。
では、隣地所有者との境界トラブルがある・隣地所有者が行方不明などの事情により、
どうしても境界が確定できない場合はどうしたら良いのでしょうか・・・?
その場合、筆界特定制度という制度を利用することができます。
筆界特定制度は、筆界特定登記官が土地の所有権の登記名義人等の申請により、
申請人・関係人に意見及び資料を提出する機会(手続保障)を与えた上で、
外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて筆界の現地における位置を特定する制度のことです。
申請人は、申請手数料のほか測量が必要となった場合の測量費用を負担する必要があります。
また、筆界特定制度は6か月~1年ほどかかる手続きとなり、費用も時間もかかってしまいます。
そのため、話し合いで解決できそうな場合は、筆界特定制度を利用せずに解決した方が費用も時間も少なく済みます。
本件では、地目変更する土地は宅地に道路がかかっている状態のため、
まずは確定測量をした上で、宅地部分と道路部分で分筆登記を行いました。
【地目変更登記とは】
地目とは、土地の用途を表すもので、登記簿謄本上部に必ず記載されているものです。
地目の種類は、法律で23種類に定められています。
したがって、地目変更登記とは土地の用途に変更があった際に行う登記のことです。
例えば、当初は「田」として使用していた土地に家を建てた場合、地目変更登記を行い、
「田」から「宅地」へ地目を変更する登記が必要となります。
現地の状況を見て地目を決めますが、
登記できる土地の地目は1つのため、1つの土地に対して複数の地目を登記することはできません。
例えば、宅地の一部を畑にして家庭菜園をしている程度であれば、宅地として一体利用しているとみなし、
分筆登記をせずに全体を宅地として地目変更することができます。
しかし、本件の宅地と道路のように、全く別の用途で土地を利用している場合は、
土地分筆登記を行った上で地目変更登記を行う必要があります。
本件では宅地部分と道路部分で分筆登記を行い、それぞれを「宅地」「公衆用道路」と地目変更しました。
ちなみに…
「公共の用に供する道路」は本来課税されない土地ですが、
道路として利用しているのに誤って宅地として課税されていることがあります。
その場合、対象地がある市町村に対し私道の非課税申告を行うことで、
道路部分を非課税に変えてもらうことができます。
非課税になるかどうかについては、市町村により条件がある場合もありますので、
予め市町村へ相談してから手続きを進めるとスムーズです。
登記されている内容や現地の状況により必要な登記が変わる場合もございますので、
登記のことでお悩みの方は弊所までお気軽にご相談ください。
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スタッフ一同
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