自分の土地に他人名義の建物の登記が残っている場合


不動産の売却を考えているため不動産屋さんに相談したところ、

私の土地に、存在しない他人名義の古い建物の登記があることが発覚しました。
どうしたらいいのでしょうか。

 

 

 

建物滅失申出を行うことにより、登記を閉鎖することができます。

 

 

 

【建物滅失申出とは】

登記されている建物が、取壊し、焼失、倒壊等により建物として使用できなくなった場合、

その登記記録を閉鎖するためには通常、建物滅失登記を行います。

 

建物滅失登記は、

・表題部所有者

・所有権登記名義人

・上記の相続人又はその他の一般承継人

が申請人となり登記を申請します。

 

そのため、建物の登記名義人が亡くなっていても相続人からの申請が可能です。

しかし、今回のケースでは、土地所有者と建物の登記名義人が赤の他人のため、

建物滅失登記を申請することができません。

 

 

でも、自分の土地に赤の他人の建物が登記されている…なんて変ですよね。

実際、他人名義の建物の登記が残っていると、売却ができなかったり、住宅ローンを利用できなかったりと

非常に困ることになってしまいます。

 

滅失した建物の所有者から滅失登記を申請してもらえるのであればスムーズですが、

その所有者が行方不明であったり、亡くなっている場合は、連絡の取りようがありません。

滅失登記の申請ができる人を建物の所有者やその相続人に限ってしまうと、

土地の所有者は、いつまでも土地を売却できなくなったり、住宅ローンを利用することができなくなってしまいます。

 

そこで、利害関係のある土地の所有者から法務局へ滅失の申出を行い、登記を閉鎖してもらう制度があります。

その制度のことを建物滅失申出といいます。

 

建物滅失申出は、

「私の所有する土地上に、今は存在しない他人名義の建物の登記記録が残っているので滅失登記をして下さい」

という申出を法務局に行い、登記官により滅失登記をしてもらうためのものです。

 

ただし、申出をすればすぐに滅失登記がされるわけではありません。

申出をすると法務局の登記官は建物の所有者宛てに催告書を郵送します。

(本来申請者となるべき建物の所有者に滅失登記をするように促します)

この催告通知が宛先不明で建物所有者に届かなかったり、

通知から一定の期間を経てそれでも滅失登記が申請されないとき、

登記官による調査が行われ、実際に建物が存在しない事の確認が取れた上で、職権により滅失登記がされます。

 

また、通常の建物滅失登記であれば1~2週間で完了しますが、

建物滅失申出は法務局が催告通知を行ったり現地調査を行いますので完了までに1か月程かかります。

登記名義人ではなく第三者からの申請となるため、法務局も慎重に調査を行います。

 

建物滅失申出を行う際、法務局へ提出する資料は下記の通りです。

・建物滅失申出書

・委任状(代理人からの申請の場合のみ必要)

・上申書+上申人の3か月以内の印鑑証明書

・不登載証明書(建物が存在しないことの証明・市町村で取得)

・土地の閉鎖謄本(調査のため法務局から取得した閉鎖謄本があれば添付)

 

申請人が相続により取得した土地の場合、相続書類一式を提出することもありますし、

案件により提出する書類が増えることもありますので一概には言えませんが、基本的には上記の書類が必要です。

 

また、建物の登記名義人が亡くなっていても相続人から滅失を申請することが可能と前述しましたが、

被相続人と相続人の繋がりが相続書類(戸籍など)から確認できない場合、

相続人の証明ができないことになります。

 

例えば、下記の通りです。

・登記簿上の住所:新潟市中央区山二ツ五丁目2番25号

・戸籍の附票の住所:新潟市中央区山二ツ五丁目225番地

 

上記では、登記簿上の住所と戸籍の附票の住所が一致しないため、相続人ということの証明ができません。

 

そのため、建物の登記名義人が祖父と同姓同名であるにも関わらず、

登記簿上の被相続人の住所を相続書類で確認できず

相続人であることを証明できなかったため、管轄の法務局へ相談した上で建物滅失申出を行ったケースがありました。

 

建物滅失申出は建物滅失登記に比べて、集める書類も多くなり時間もかかる手続きになってしまいます。

取り壊した建物の登記をそのままにしておくと、

将来不動産を売却する時などに支障が出てくることもありますので、

建物を取り壊した時は都度登記を行っておくことが大切です。

 

 

登記されている内容や現地の状況により必要な登記が変わる場合もございますので、登記のことでお悩みの方は弊所までお気軽にご相談ください。