住所変更~住所が繋がらない+権利証紛失~

不動産を所有する人は、住所や氏名に変更があった場合「住所変更登記」「氏名変更登記」をする必要があります。

 

しかし、これらの登記は今まで任意での登記とされており、ほとんどの人が忘れている登記なのではないでしょうか。

 

実際に、住所変更登記、氏名変更登記のみでの依頼は少なく、売却をすることが決まった時に登記簿謄本を確認してみたら旧住所・旧氏名のままだったなんてことが多いのが現状です。

 

 

そんな現状だからこそ起こってしまった、住所変更登記の事例を今回はお話ししていきます。

 

今回のケースとして、6名の共有者の内、お一人の住所変更が必要という状況でした。

仮にこのお一人をAさんとします。

 

通常、住所変更登記では、登記簿上の住所から現在の住所が繋がる住民票または戸籍の附票を添付することで登記が可能です。

 

 

ここで一つ目の問題が発生します。

 

Aさんから登記簿上の住所から何度か引っ越しをした旨を確認していたため、戸籍の附票を対象の住所が記載されているところまで遡って取得しようとしましたが、保管期間経過により廃棄されてしまっており、住所の繋がりを確認することができませんでした。

 

ただ、この問題はあまり珍しくはない問題で、以下5点の書類を添付することで登記が可能となります。

 

①取得できる限りの戸籍の附票

②廃棄証明+その期間の戸籍

③登記簿上の所有者本人であることの上申書(実印にて署名捺印)

④印鑑登録証明書

⑤権利証または登記識別情報通知

ここで二つ目の問題が発生します。

 

今回Aさんは⑤の権利証を紛失しており、添付書類が足りなかったのです。

 

権利証はその人が所有者本人であることを証明するための書類となりますが、紛失している場合どのようにしたらよいのでしょうか。

 

 

法務局に照会をかけたところ、結果として「過去3年分の納税証明願」と「不在住証明書」を添付するようにとのことでした。

 

過去3年分の納税証明願いについては「他の人の不動産に対して納税はしないだろう=つまり過去3年分も納税しているのだから本人だろう」という意味だと捉えています。

 

 

ここでさらなる問題が発生します。

 

過去3年分の納税証明願の発行について市役所に問い合わせたところ、「共有の場合は納税義務者の欄が『代表者氏名 他〇名』となります。他の方の名前では出せません。」とのこと。

 

その代表者とは納税通知書や課税明細書が送付される方だそうで、今回Aさんには送付がされていませんでした。

 

 

そんな馬鹿な・・・。代表者に送られたからと言って代表者が払っているとは限らないのではないか。そもそも共有者全員が納税義務者なはずなのに、なぜ代表者しか名前が載らないのか。

 

色々と疑問が残り、ダメもとでAさんの名前を記載した証明願を提出してみたところ。

 

なんと、あっさり取得することが出来ました。

念のため市役所の方に、以前取れないと言われた旨も伝えましたが、Aさんの持分を記載し、共有であることが分かればお出しできますとのこと。

 

 

よって、今回の住所変更登記では

①取得できる限りの戸籍の附票

②廃棄証明+その期間の戸籍

③登記簿上の所有者本人であることの上申書(実印にて署名捺印)

④印鑑登録証明書

⑤過去3年分の納税証明願

⑥不在住証明

以上を添付することにより、無事登記することができました。