抵当権が設定されている建物の建物滅失登記

 

 

 建物を解体しましたが、どのような手続きが必要でしょうか。

 

 

 

登記されている建物を解体した場合、建物滅失登記を行う必要があります。

また、登記簿謄本を確認したところ、建物に抵当権が設定されていました。

 

 

【建物滅失登記とは】

登記されている建物が、取壊し、焼失、倒壊等により建物として使用できなくなった場合、

その登記記録を閉鎖するための登記です。

 

また、建物滅失登記について、不動産登記法第57条では下記のように規定されています。

「建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。」

 

建物滅失登記を怠ると10万円以下の過料に処せられることがありますので、

建物が解体などにより使用できない状態になった際は、速やかに建物滅失登記を行いましょう。

 

令和6年能登半島地震により、新潟市内でも地震による建物の被害は多くありました。

地震により建物が若干傾いたり、壁に軽微なヒビが入り、その建物に居住しなくなった場合、

建物滅失登記を申請することは可能でしょうか。

 

結論としては、建物滅失登記を申請することはできません。

建物滅失登記を申請できる条件として「建物が、取壊し、焼失、倒壊等により建物として使用できなくなった場合」

と定義されているため、

修繕すれば居住できる場合は建物滅失登記を申請できませんので注意が必要です。

この場合、建物滅失登記を行うには建物を取壊しする必要があります。

 

 

【抵当権とは】

例えば、住宅ローンでお金を借りた人が返済できなくなった際、お金を貸した人(金融機関など)が

担保にした土地や建物を差押えたり競売にかける等により、弁済を受けることができる権利のことです。

担保にされている土地・建物は、登記簿謄本に抵当権が設定されている旨が記載されています。

 

本件では、解体された建物の登記簿謄本を確認したところ、抵当権が設定されている建物ということが判明しました。

第三者が抵当権者となっている不動産を勝手に処分してしまいましたが、

建物滅失登記を申請しても良いのでしょうか…?

 

 

【実際に行った手続き】

建物滅失登記は「建物が取壊しされている」という事実に基づき登記を申請するため、

既に建物を解体した場合は抵当権が設定されていても建物滅失登記の申請は可能です。

あくまでも建物滅失登記ができるかどうか?ということなので、抵当権付きの建物を解体しても良いかどうかは別問題です。

 

抵当権が設定されている場合は後々のトラブルを避けるためにも、建物を解体する前に抵当権者に相談し了承を得ておきましょう。

抵当権が設定されているかを確認せずに建物を解体してしまった場合は、

建物滅失登記を申請する前に金融機関などの抵当権者へ連絡し、建物滅失登記を行うことの了承を得ましょう。

 

前提として、お金を返していないのに抵当権付きの建物を勝手に解体することは契約違反となる可能性があるため、

勝手に解体してはいけません。

また、お金を全て返した場合は抵当権を抹消する登記をきちんと行っておけば、後々手間がかかることはありませんので、

都度登記を行うと良いでしょう。

 

本件では、抵当権付きの建物が既に取壊しされてしまったため、お客様から抵当権者へ建物滅失登記を行うことの了承を得ていただき、

登記申請を行い無事に完了しました。

 

 

登記の内容や現地の状況により必要な登記が変わる場合もございますので、

登記のことでお悩みの方は弊所までお気軽にご相談ください。