AとBで区分されている区分建物のうちAを取り壊し、建て替えた場合の登記

 

建物を取り壊して、取り壊した部分を建て替えました。

どのような登記が必要ですか?

 

 

調査した結果、お客様のご自宅は長屋でAとBの2つに区分されている区分建物で、
現地を確認したところAの部分が全て取壊しされていました。

また、取り壊したAの後に建て替えられた建物は、独立性がありませんでした。
そのため、建て替えた部分はBの増築部分と捉えることができます。

        よって、本件では区分建物滅失登記建物表題変更登記を行う必要があります。

 

【区分建物とは】

不動産登記法第2条22項では、下記のように定義されています。

「一棟の建物の構造上区分された部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものであって、建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第三項に規定する専有部分であるもの(区分所有法第四条第二項の規定により共用部分とされたものを含む。)をいう。」

 

難しく書いてありますが、身近な建物でいうとマンションの各部屋が区分建物の一つです。

また、長屋も一棟の建物を区分し、独立して利用している場合は区分建物になります。

 

「独立して利用している(=独立性がある)」と判断するには、下記2点が判断基準になります。

  • 構造上の独立性
  • 利用上の独立性

 

構造上の独立性とは、区分建物AとBの間に壁があり、行き来できないような構造になっていることが挙げられます。

また、利用上の独立性とは、出入口が別々で、AとBそれぞれにトイレ、浴室、台所、居室などがあることが挙げられます。

つまり、AとBがそれぞれ別の家として利用されているかどうかが、区分建物か否かを見極めるポイントになります。

 

 

【建物滅失登記とは】

登記されている建物が、取壊し、焼失、倒壊等により建物として使用できなくなった場合、その登記記録を閉鎖するための登記です。

 

区分建物以外である、戸建て住宅等の建物を取り壊した場合は「建物滅失登記」を行い、

区分建物の全部を取り壊した場合は「区分建物滅失登記」を行います。

 

本件では、区分建物のAとBのうちAの部分が全て取壊しされていたため、Aの部分について区分建物滅失登記を行いました。

区分建物Aについて滅失登記を行ったため、残ったBの登記簿謄本は非区分建物(戸建て住宅と同様)として移記されました。

 

また、建物滅失登記について、不動産登記法第57条では下記のように規定されています。

「建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。」

 

建物滅失登記を怠ると10万円以下の過料に処せられることがありますので、
建物を解体した時は、速やかに建物滅失登記を行いましょう。

 

 

【建物表題変更登記とは】

増築・減築などにより建物の状態が変化したときに、登記簿謄本の内容と実際の建物に差が生じてしまうため、
登記簿謄本の内容を変更する登記
のことです。

また、車庫などの附属建物を建築した場合も、建物表題変更登記を行う場合があります。

 

また、不動産登記法第五十一条では、下記のように規定されています。

「登記事項について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、当該変更があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。」

 

建物表題変更登記を怠ると10万円以下の過料に処せられることがありますし、

登記簿謄本の内容と実際の建物に差が生じている場合、建物表題変更登記を行わないと売却できないこともありますので、
増築・減築などにより建物の状態が変化したときは、速やかに建物表題変更登記を行いましょう。

 

本件では、区分建物Aが建てられていた場所に、建て替え建物が存在しました。

建て替え建物の調査を行った結果、Bとの間に壁はなく、建て替え建物部分にはトイレ、浴室、台所、居室なども
存在しなかったため、明らかに独立性がありませんでした。

そのため、「Bを増築した」と捉えて建物表題変更登記を行いました。

 

 

【本件の解決事例】

区分建物のAとBのうちAの部分が全て取壊しされていたため、Aの部分について区分建物滅失登記を行いました。

残ったBの登記簿謄本は非区分建物(戸建て住宅と同様)として移記され、また、建て替え建物は独立性がなかったため、
「Bを増築した」と捉えて建物表題変更登記を行いました。

2つの登記を行うことにより、実際の建物と登記簿謄本の内容を一致させることができました。

 

必要な登記は建物の状態によって変わることがありますので、建物を取り壊した、増築・減築等を行ったけど登記のことが
分からない…という方は、お気軽にご相談ください。