地目が農地(田・畑)の土地を贈与するには?

 

私名義の土地を子供に贈与したいです。

現状は宅地として利用している土地ですが、
登記簿謄本の地目は農地(田・畑)になっている場合でも、子供に贈与することはできますか?

 

 


農業委員会に農地転用の手続きを行っていますか?
贈与前に地目変更登記を行う必要があります。

 

 

 

 

農地を農地以外の用途で使用することを「農地転用」といいます。

食料自給率が低い日本では農地を大切に守っていく必要があり、耕作者の地位安定と農業生産の増大を図り、
食料の安定供給の確保に資することを目的として、農地について規制する法律が設けられています。

そのため、
農地を農地以外の用途で使用したい場合や、農地を贈与・売買・賃貸等する場合は手続きが必要になります。

 

農地を農地以外の用途で使用する場合には、市町村の農業委員会から農地転用の許可を受ける必要があります。
(市街化区域内の農地の場合は届出となります)

許可を受けるには一定の条件がありますので、お気軽にご相談ください。

 

また、無断で農地転用を行うと農地法違反となり、工事の中止命令や原状回復命令を受けることがあります。
原状回復をする場合、費用や時間がかかり大きな損失になってしまうため、
農地転用を行う場合は、必ず事前に農地転用の許可を受けてから転用しましょう。

 

本件では、過去にお客様が土地を売買で購入する際に、既に農地転用の手続きを行っていました。
そのため、改めて農地転用の手続きをする必要はありませんでした。

 

 

 

地目とは、土地の用途を表すもので、登記簿謄本上部に必ず記載されているものです。
地目の種類は、法律で23種類に定められています。

 

したがって、地目変更登記とは土地の用途に変更があった際に行う登記のことです。

例えば、当初は「畑」として使用していた土地に家を建てた場合、地目変更登記を行い
「畑」から「宅地」へ地目を変更する登記が必要となります。

 

不動産登記法第37条では、「地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、
その変更があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。」
との記載がありますので、
土地の用途が変わったときには速やかに地目変更登記を行う必要があります。

 

また、農地法の関係から、実際の用途が農地以外で地目が農地(田・畑)となっている土地について、そのまま所有権移転(贈与や売買)を行うことはできません。

そのため、本件では所有権移転登記の前に地目変更登記行いました。

 

 

 

本件の当該地は、既に農地転用の手続きを行っていたため、改めて農地転用の手続きをする必要はありませんでした。

しかし、地目が農地のまま所有権移転登記(贈与)することができないため、所有権移転登記前に地目変更登記を行いました。

その結果、地目変更登記・所有権移転登記どちらも問題なく完了し、お客様からそのお子様へ無事に贈与することができました。

 

 

 

現状が宅地で地目が農地の土地を贈与するためには、下記の流れでの手続きが必要です。

  • 市町村の農業委員会から農地転用の許可を受ける
  • 地目変更登記を行う
  • 所有権移転登記を行う

 

市町村の農業委員会から農地転用の許可を受けていても、地目変更登記を行わなかったために謄本上の地目が農地のままになっていることが多いのが実情です。

また、市町村が発行する課税明細書の課税地目が「宅地」と記載されていても、謄本の地目が農地のままになっていることもありますので、一度登記簿謄本を取得して地目を確認してみてはいかがでしょうか。