成年後見人の印鑑証明書
以前、「成年後見人による移転登記」(https://shtrust-niigata.com/archives/example/example-4577)にて売買による移転登記で、売主に成年後見人がついている場合の必要書類についてお話をしました。
今回はその続きになります。
必要書類のうちご質問をいただくことの多い“印鑑証明書”について。
これは司法書士や弁護士の個人のものになるのでしょうか?
まず印鑑証明書として、
①市区町村長が発行する個人の印鑑証明書
②司法書士会(又は弁護士会)が発行する職印証明書
③家庭裁判所が発行する印鑑証明書
このようなものが考えられます。
結論からお話しすると、①と③が登記の添付書類として使用することが可能です。
では、各印鑑証明書について詳しく見ていきたいと思います。
①市区町村長が発行する個人の印鑑証明書
不動産登記令16条2項より「登記申請書の添付書類である印鑑証明書は、原則として市区町村長又は登記官が作成するものに限る」とされているため、これは間違いなく使用できますね。
ただ、“個人”の印鑑証明書となるため、記載されている住所は「個人の自宅住所」となり、登記事項証明書記載の住所が「事務所の住所」などになっていた場合は、住所が一致しないため、「個人の自宅住所」と「事務所の住所」の両方の記載がある証明書を添付する必要があります。
必要書類が増える可能性があるため、注意が必要ですね。
ちなみにこの証明書には、司法書士会発行の登録事項証明書や、裁判所発行の証明願いなどが当てはまり、登録事項証明書などは発行に日数を要する場合もあるようですので、早めの準備が必要となります。
②司法書士会(弁護士会)が発行する職印証明書
最初にお伝えした通り、登記申請の際に使用することはできません。
職印証明書が使用できない理由としては、先ほどはお話ししましたが不動産登記令16条2項より「登記申請書の添付書類である印鑑証明書は、原則として市区町村長又は登記官が作成するものに限る」とされているため、司法書士会(弁護士会)が発行する職印証明書では、登記上印鑑証明書としての機能を満たさないためです。
③家庭裁判所が発行する印鑑証明書
②の理由から③も使用できないのでは?と思いますが、不動産登記規則48条1項3号より「裁判所によって選任された者がその職務上行う申請の申請書に押印した印鑑に関する証明書であって、裁判所書記官が最高裁判所規則で定めるところにより作成したものが添付されている場合」とされているため、不動産登記令第16条2項の例外規定となっています。
この印鑑証明書には、登記事項証明書と同様の住所が記載されるため①の時のように、住所について気にする必要がないため、最も手続きに使用されている印鑑証明書だと思われます。
最後に、補足になりますが、家庭裁判所からの許可書がなく、権利証も紛失している場合で、成年後見人の本人確認情報を添付して登記する場合
・登記事項証明書及び印鑑証明書:事務所の住所
・本人確認書類:個人の自宅住所
このような場合も住所が一致しないため①であげたような書類が必要となります。
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