所有者なのに共有者?
以前、売主をさんとする不動産売買による移転登記のご依頼をいただきました。
(買主については省略します。)
契約書記載の対象物件の謄本を取得し、内容を確認していくと、
ん?共有者???
再度契約書を見ても、売主は1人だけ。物件の表示を確認しても、移転する持分は1/1。
この物件は売主が他にもいる?え?1人?
一瞬頭が混乱しました。
まずは、謄本をよく確認すること!と思い、
再度よく謄本を見て、所有権の動きを確認していくと、
順位番号4と順位番号5から、この物件についてさんが所有者であることが分かります。
(今回、住所は一致していたものとします)。
すでに持分持ってたのか~、やっぱり売主はさんお1人だけだ~。一安心。
なんてのんきなことを思いましたが、
では、どうして謄本上は「共有者」なのでしょうか。
結論からお伝えすると、
順位番号4の「」と順位番号5の「
」の字が、少し異なっていたのです。
順位番号4の「」、順位番号5の「
」
この違いわかりますか?
一画違うだけで、別人と判断されてしまったようです。
別人と判断されているということは、更正登記が必要になるのか?と次の疑問が浮かび上がります。
「邉」の字は、辺、邉、邊・・・と異体字がたくさんあります。
それらが正字と俗字の関係にあれば、法務局は同じ漢字として判断するそうで、その場合は更正登記の必要はありません。
(ほかの漢字でも、毎回調べなければなりません)
実際に法務局に確認すると、同じ漢字として判断するため、更正登記は要しないとのことでしたが、システム上、どうしても別人として登記されてしまうとのこと。
この場合、登記の目的はどうなるのか。
『所有権移転』として申請しましたが、やはり同一人物として見ているとのことだったため、審査は通りました。
しかし、「事後謄本には『共有者全員持分全部移転』と記載されます」と、連絡が来ました。
実際に終わった事後謄本の登記の目的には本当に『共有者全員持分全部移転』と記載されていました。
当事者は1人なのに、なんだか不思議な感覚でした。
今回は登記簿上の漢字が異なっていたものの、同じ漢字として見てもらえたため、変更登記などをする必要もなく登記が完了しましたが、そもそもこういったことが起きないよう、登記を申請する際の漢字にはより注意をしなければいけないと強く感じた案件となりました。
ちなみに、今回は同一人物として判断してもらえましたが、「齊」藤さんと「齋」藤さんは別人として扱われるので、もし印鑑証明書上は「齊藤」なのに、登記簿上が「齋藤」になっていた!なんてことがあった場合は更正登記をいれて登記簿の氏名を移転登記の前提として変更しておかなければならないので、より注意が必要です。
こういった間違い、お客様への失礼が無いように、私たちは登記の時だけでなく、日頃からお客様のお名前を一文字一文字確認していきたいと思います。
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