登記済権利証と登記識別情報通知の違い

 

「「登記識別情報通知」って何ですか?」

登記のご依頼をいただいた多くのお客様よりこの質問をいただきます。

簡単に「登記済権利証のかわりのものです。」とお伝えしますが

 

「それって権利証と違うんですか?」

「同じような書類がたくさんあってどれが権利のあるものか分からないんです。」とおっしゃられることも多いです。

 

 

不動産取引の場面でよく耳にする「登記済権利証」「登記識別情報通知」

どちらも不動産の「権利の証明書類」ですが、今回その違いについて説明します。

 

違いを図にすると下記の通りです。

 

 

※発行時期については法務局の管轄で時期は異なります。

例)新潟地方法務局・・・平成17年11月28日オンライン化

新潟地方法務局新津支局・・・平成18年11月27日オンライン化

 

登記識別情報通知は、登記済権利証と違い紛失だけでなく漏洩に気をつける必要があります。登記識別情報通知は12桁のパスワードを伏せられて通知されますが

 

 

 

そのパスワードが漏洩し第三者に見られたり、コピーされたりすると、従来の登記済権利証が盗まれたのと同様の危険があります。

書類の内容を理解し次回登記申請の際まで適切に保管しておく必要があります。

 

登記済権利証、登記識別情報通知を間違いやすい書類として、所有権を取得した際の登記の完了証や土地家屋調査士からの「建物表題登記」等の完了証があげられます。

実際面談時に別の書類を権利証だと思っていた、、、なんてこともよく見受けられます。

見た目では所有権を取得した際の司法書士や土地家屋調査士が綺麗に製本し、表紙をつけてお渡ししていることが多いので、どれが権利を証明する権利証なのか見分けがつきにくいこともあるようです。

見分けがつきにくい場合は上図★「形式」欄で確認いただくのがよろしいかと思います。

 

 

 

 

現在オンライン化により所有権保存・所有権移転・抵当権設定等の権利者となった際、発行されるのは全て登記識別情報通知になります。

しかし先日ここ2、3年で取得した不動産について

登記識別情報通知でなく登記済権利証が発行されている例外のケースがありました。

ご依頼いただいた際、謄本を確認し該当不動産の未失効照会(オンラインにより登記識別情報の有効性を迅速に確認するための法務省のサービス)から登記識別情報が有効かどうか確認させていただいておりますが

今回未失効照会をしたところ下記のメッセージがでました。

 

【回答】照会に係る登記がありません。

 

※有効であれば【回答】当該登記に係る登記識別情報通知が通知され、かつ、失効していません。とメッセージが出ます。

 

オンライン化後に取得した不動産であれば通常、登記識別情報通知が発行されていますが不動産を取得した時に登記識別情報通知を通知しない=不通知 とすることが出来ますので今回もそのパターンで不通知かと思いましたが

謄本をよく見てみると表題部の登記の欄に「平成17年法務省令第18号附則第3条第2項の規定により移記」とあり、その下の日付に令和5年〇月〇日の記載がありました。

「平成17年法務省令第18号附則第3条第2項の規定により移記」とは

オンライン化により謄本が紙ベースからデータベースに移記したことを指していますがこの該当の法務局では平成18年にオンライン化しているにもかかわらず

この物件だけデータ化されていなかったようでした。

所有者はこの物件を令和5年に所有権保存していましたので、保存登記した際にオンライン化されていないことが判明し保存登記後にオンライン化したものだと思われました。

表題部はかなり昔に登記されていたようですが、所有権保存登記の後に、表題部でも所在が錯誤で登記されておりました。

念の為法務局へも確認しましたが、この物件についてはオンライン化の時期を過ぎた後も紙ベースで保管されており(経緯の詳細は不明です。)

謄本の記載のとおり最近オンライン化した為に登記識別情報通知でなく登記済権利証が発行されたとのことでした。

こういったケースが初めてだったのですが、

該当の登記済権利証を添付して無事移転登記が完了致しました。

 

 

 

登記済権利証、登記識別情報通知は紛失しても再発行できないものです。

紛失した場合・パスワード情報が漏洩した場合は事前通知制度や司法書士による本人確認情報の提供によって代替できますが、手続きが煩雑になりますし、司法書士への本人確認情報の作成費用等お金もかかります。

そのため、不動産を所有している方・これから取得される方はきちんと書類を確認し、厳重に保管しておくことが大切です。