住所変更登記~登記と同日の住所移転~
所有権登記名義人住所変更登記というのは、よくご依頼をいただく登記の一つで、一般の方がご自身で申請をすることもよく耳にするため、一見簡単な登記のように思われる方も多いのではないでしょうか。
しかし、売買による所有権移転登記や、借り入れがある場合の抵当権設定登記などの前提として行われることも多いため、私たちとしては慎重に進めなければならない登記の一つでもあります。
時に、実際にお客様から住民票(戸籍の附票)をいただき、住所のつながり、住所を定めた日を確認していくと、「おや?登記した日にはすでに違う住所にいたようだぞ?」ということもあり(おそらく旧住所の住民票を使って移転登記をかけたのでは・・・)、その場合は“変更登記”ではなく“更正登記”をしなければなりません。
更正登記とは、誤って登記された内容を、正しい内容に訂正する登記のこと。
つまり登記日時点での本来の住所に訂正するということになります。
登記の目的自体が変わってくるので、必ず日付まで確認して、登記の目的を見分ける必要があります。
そんな中、変更登記なのか更正登記なのか、少し悩んだ事例がありましたので、ご紹介いたします。
(※日付は全て仮の日付となります)

上記の登記簿上の所有者から現住所が「新潟市東区△△2番2号」になっているため、住所変更登記をお願いしたいとご依頼をいただきました。
住所の移転は一度ではないとのことから戸籍の附票を取得していただき、内容を確認すると以下のような内容になっていました。

まず、一番気になるところである、登記簿上の住所から現住所まで住所の沿革は確認できました。
しかし、最初にお話ししたように確認しなければいけないのはそこだけではありません。
住定日を見ていくと、「令和3年10月20日」に登記簿上ではない住所に住所を移していることがわかります。
登記された日と住所を移した日が同日・・・?
この場合、登記された日時点での住所が違ったということになるのか?そうなると変更登記ではなく更正登記になるのか?
と色々と考えましたが、
結論としては、住所の“変更登記“で申請を行うこととしました。
理由としては、登記研究(346号92頁)を確認したというところが大きいですが、実際に登記日当日の時系列として住所を移したのが先なのか、登記をしたのが先なのかはわからないという見解もあったからです。
結果として、“変更登記“で無事登記を完了させることができました。
来年から始まる住所変更義務化に伴い、ご自身で住所変更登記をしようかなと検討されている方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介したような事案はあまり多くはないとは思いますが、一見簡単そうに見える登記も、意外なところで引っかかるということもあると思います。
そのような場合は、弊所までお気軽にご相談いただければと思います。


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