外国人の不動産購入と国内連絡先の選任

近年、新潟県でも外国人の方が不動産を購入されるケースが急増しています。

それに伴い、当事務所でも外国人のお客様の登記を担当する機会が増えてきました。

 

外国人が日本で不動産を取得する場合、普段の所有権登記とは異なる点がいくつかあります。

今回はその中でも 「国内連絡先」 の選任についてご紹介いたします。

 

☆国内連絡先とは

 

不動産の所有者が海外に住んでいる場合に、日本国内に住所を有する者を登記簿に記録する制度です。

 

この制度は 2024年4月1日施行の改正不動産登記法 により新しく導入されました。これ以降、海外在住の方が日本で不動産を取得する際には、原則として国内連絡先を登記に記録することが求められます。

 

☆なぜ国内連絡先が必要なのか

 

海外在住の所有者に対して登記所や裁判所から通知を送る場合、やりとりに時間がかかったり、連絡がスムーズに届かなかったりすることがあります。そこで国内に窓口を設けておくことで、確実で迅速な連絡が可能になります。

 

また、この仕組みは社会的に大きな課題となっている「所有者不明土地」の増加を防ぐ狙いもあり、相続や権利の承継がよりスムーズに進むようにするという点でも重要な制度といえます。

 

☆国内連絡先として指定できる者

 

  • 日本国内に住所を有する個人または法人

例:親族や知人、司法書士や税理士などの専門家、不動産会社

 

☆弊所での事例

 

実際に弊所で担当させていただいたお客様は、

  • 日本在住のご友人を国内連絡先として選任した事例
  • 仲介業者を国内連絡先として選任した事例

 

などがありました。

 

☆実際に国内連絡先を登記した場合の登記簿の表示について

 

所有者 アメリカ合衆国カリフォルニア州○○市△△    ジョン・スミス(JOHN  SMITH)

国内連絡先 新潟県新潟市中央区○丁目○番○号 田中太郎

 

☆国内連絡先を選任しない場合

 

日本に知人や法人がない場合には、国内連絡先を選任しないで登記することも可能です。

ただしその場合は、登記申請時に「国内連絡先を選任しない旨の上申書」を作成・提出する必要があります。

 

☆まとめ

 

外国人が不動産を取得する際には、この「国内連絡先」の選任が重要な手続きのひとつとなります。

登記を進めるにあたり、どのように国内連絡先を設定するかを事前に検討しておくことが大切です。

なお、国内連絡先を 個人にする場合 と 法人にする場合 とでは必要な書類が異なります。

ケースごとに準備すべき書類が変わりますので、具体的な内容については司法書士法人トラストへお問い合わせください。