農地の所有権移転における原因日付について

 

現在、多くの農地が、農業就業者の高齢化や跡継ぎ不足により、所有者が農業を引退し、草がぼうぼうになって荒れ果てた耕作放棄地になってしまう現象が全国的に見られています。

そんな農地を相続してしまい、固定資産税だけ納めている状況から、早く手放したいと考える方も多いのではないのでしょうか。

 

 

弊所でも農地の売買による所有権移転登記のご依頼をいただくことが多くあるため、今回は農地の所有権移転を行う場合の注意点の一つである、「効力発生日及び登記原因日付」についてお話ししたいと思います。

 

 

前提として、実際に農地を売却する場合には現在農地として使われているものをそのままそこで農業を続ける前提で、農地のまま売却する方法と、農地を農地ではなくして用途を変える「転用」をして売却する2つの方法があります。

 

いずれにせよ農業委員会の許可(届出)が必要であり、農地法の許可を受けないでした農地の売買契約は、許可があるまではその効力は生じません。

 

そして、この許可及び届出の効力発生日は以下のようになります。

 

許可書:許可書が当事者に到達した日

※許可が下りた日ではなく、当事者の手元に到達した日となります。

届出書:農業委員会に届出書が到達した日

※許可書とは違い、「農業委員会に」到達した日となります。

 

つまり所有権移転の効力発生日(原因日付)は、許可書及び届出書の効力発生日が売買契約日の前後で変わってくることになります。

 

 

 

実際、多くの売買契約書には、契約条項に「所有権移転の時期 本物件の所有権は、買主が売買代金の全額を支払い、売主がこれを受領したときに、売主から買主に移転する。」と記載が見られます。

 

では、許可書が当事者に到達する前に、買主が売買代金を支払い、売主が受領した場合、所有権移転の効力発生日はいつになるのでしょうか。

 

答えは、許可書が当事者に到達した日となります。

 

前述したとおり農地の売買契約は許可があるまで効力は生じないため、契約書に定められていたとしても、許可書が当事者に到達するまでは所有権は移転しません。

 

また、この場合、登記原因証明情報に、許可書が当事者に到達した日を記載し、原因日付を到達した日として登記する必要があるため、注意が必要です。

 

 

農地をこれから購入されるという方からすれば、売買代金を支払ったのに所有権移転ができなかったなどとならないよう、事前に準備しておく必要がありますし、売却したいという方も農地売却に強い不動産業者に依頼すると良いのかもしれません。