国土調査による成果で住所変更

売買での移転登記に伴う、住所変更のご依頼をいただいた登記案件で、珍しいパターンに遭遇したので、お話しします。

 

今回いただいた謄本は、以下のようになっており、

 

「国土調査による成果令和5年1月20日付記」とある住所②から現住所へ、所有権登記名義人住所変更を登記の目的とする登記を申請する予定でいました。

 

 

しかし、所有者より住民票をお預かりすると、なんと登記簿上の住所から住所移転を行ったのは平成1年であることがわかりました。

 

つまり、国土調査により登記された令和5年1月20日の住所変更登記は誤り?!

 

登記原因はどうなるのか・・・。

 

 

そもそも国土調査とは?(国土交通省資料参考)

 

国土調査とは、

国土交通省が管轄で実施されるもので、国土調査法に基づき、国土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資するとともに、併せて地籍の明確化を図るため、国土の実態を科学的かつ総合的に調査することを目的とされています。

 

調査内容としては、地籍調査関係、土地分類調査関係及び水調査関係の3つに大きく分けることができ、そのうちの地籍調査にて、一筆ごとの土地について、その所有者、地番及び地目を調査し、境界及び面積に関する測量が行われ、その結果が地籍図及び地籍簿(登記簿)に取りまとめられています。

 

よって、地籍調査が実施された地区では、土地の面積や地目など、登記記録の内容が正確なものに変更され、登記されている土地の筆界を現地に復元することが可能となり、災害復旧の迅速化や固定資産税の課税の適正化などが効果として挙げられるようです。

 

また、調査の中で、合筆可能な土地については、所有者が希望した場合合筆登記もされるようで、今回の案件ではそれに伴い住所変更登記がなされたようです。

 

 

今回の登記原因は?

話は戻り、今回の案件の住所変更について、売買については決済がすでに行われており、早急に登記を申請する必要があったため、管轄の法務局へすぐに確認を行いました。

 

事情をお伝えすると、国土調査による所有権登記名義人住所変更の登記は、住民票などを確認して登記を行うわけではないため、このように誤りがあることがあるとのこと。

 

「錯誤を原因とする、更正登記をするように」と指示がありました。

 

指示があったとおり、申請を行い、無事移転登記まで登記が完了しています。

 

ちなみに、あくまでも令和5年の登記を錯誤で更正するため、区制施行により非課税にはできないようです。